できるだけ技術的要素を抜いてビットコイン分裂騒動を説明してみる

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ビットコインはなぜ分裂するのか?

ビットコインがまた分裂する!?という話が暗号通貨界隈の話題を席巻しております。私も昔から仮想通貨をいじっている身でもあるので、興味を持って見ております。

今回の分裂騒動に関しても色々解説記事はありますが、どれもかなりのボリューム感のある記事になっているので、私の理解で簡単にまとめてみました。

理解の簡単化のため、技術的なところはできるだけ省いて説明しております。かなり難しい話なので理解が間違っているところもあるかと思いますが、その場合は有識者様のご指摘等いただければと思います(汗

問題の要旨は「スケーラビリティ問題」と「ASIC BOOST」にあり

そもそも、どうしてこんな分裂騒動が出てきたのかというと、どこかで確実にぶち当たるはずの「スケーラビリティ問題」にぶち当たったことに始まります。

ビットコインの取引はブロックチェーンという仕組みを使い、ビットコインネットワーク全体で取引情報を共有することで成り立っているわけですが、要はその取引情報を入れる箱が小さすぎて、流通する取引情報が詰まってくるというのが問題になってきました。

で、それを解決するために、以下の2つの案の採用が議論されていたわけです。

  1. 取引情報を入れる箱のサイズ大きくすればいいじゃない!(ビッグブロック派)
  2. 取引情報自体をスリム化すればいいんじゃない!?(SegWit派)

で、これが揉めに揉めました。ビットコインの開発陣はSegWitを推奨してましたが、マイナー(※)にとってはSegWitは悪でしか無いのです。なぜなら、取引情報が多い方がマイナーへの報酬に繋がるからですね。あとは、SegWitを導入するとASIC BOOSTという、要はズルしていっぱいビットコインを貰う抜け道が塞がれちゃうらしいとのこと。

※マイナーとは・・PCをブンブン動かしまくってビットコインを掘ってる人。おもに中国人。

なんで、これが揉めました。結果、こうなりました。

「SegWit入れて、箱も2倍の大きさにしようぜ!(=SegWit2X)」

んで、これが何故か採択。ASIC BOOST使えないのに何で・・・?

結局、ASIC BOOSTをなくしたくない人(ジハン・ウー)はこれをもって決別。ビットコインキャッシュ(BCH)を分化させました(BCHで箱は8倍の大きさになりました)。

ただ、これは平和的分裂であり、リプレイ攻撃(後述)と言った問題が起こらないようになっていたので、ここでは特に大きな問題にはならず、一旦は分裂騒動は収束したというわけです。

SegWit2Xがめちゃくちゃ不安な開発状態・・・

んで、今回新たに問題になってきたのが、そのSegWit2X。今回の分裂騒動が出てきてから突貫工事で開発しているという不安だけでなく、何でも開発を一人で行ってる?とか言う話。しかも、リプレイ攻撃(※)対策が果てしなく微妙で、「ユーザー側での対応を怠ってしまうとリプレイ攻撃が可能な仕様」になっているのです。結果、既存のビットコインネットワークまでめちゃくちゃにしてしまう可能性があるのです。

※リプレイ攻撃とは・・・BTCとB2Xの取引記録は同じ暗号化方式を使って行われるため、取引履歴のコピーが簡単にできてしまうのです。片方のネットワークでできた取引記録をコピーして宛先アドレスだけ変更、もう一方のネットワークに流してしまえば・・・?あとはおわかりですね。それがリプレイ攻撃です。

とはいえ、マイナーたちの多くはSegWit2Xを支持しています。こんな危なっかしいものを何で?・・・理由は、そのほうが儲かるからです。箱が大きくなるから。とてもシンプルな論理ですね。んで、この温度差が、分裂問題を再燃させているというわけですね。

(11/12追記)

とりあえず、2xへの分裂は回避となったみたいですね。

まあ、問題が先延ばしになっただけなのでまた再燃するとは思いますが。。。

ビットコインゴールドは騒動の話とは切り離してOK

ついでにビットコインゴールドというのも分化しましたが、とりあえずコレは今回の騒動としては無視していいです。

というのも、そもそも大規模なマイナーが利用しているASIC(仮想通貨採掘の効率を大きく上げるハードウェア)が使えないように細工したものなので、彼らにとっては全く乗り換えるメリットがないシロモノだからです。

今回のポイントは「マイナーがどう動くか」なので、まあ、勝手にやってくださいといった感じですね。

図示してみた

私の理解が合ってれば、図にまとめるとこんな感じです。


図.ビットコイン分裂騒動の図解と、各通貨に対するマイナーの反応(推測)

まとめ

まあ、そんなわけで、今回の分裂騒動はBCHのときのような平和的分裂ではないというのがお分かりいただけたかなと思います。もろ戦争です

じゃあ、BTCとB2Xのどっちが覇権を取るの?というのは、これはもうマイナー、取引所、市場それぞれの判断に委ねられるということになります。

マイナーとしてはB2Xを支持したいところですが、市場がそれを求めず価値が下落するのであれば、報酬率は低いけどそのものの価値が高いBTCが結局高効率ということになり、今のBTCが覇権になるわけですね。でも、単純に市場判断に任せるわけにも行かないというのが、リプレイプロテクション問題。これがあるので取引所はBTCとB2Xのどっちを本流とするか判断する必要があり、これが問題を一筋縄では行かなくしています。

それと、勘の良い方は気づいていると思いますが、BTCのスケーラビリティ問題は完全には解決してないのです。つまり、今後も似たような分裂問題が勃発する可能性もあるのではないかなと思われます。

・・・という状況なので、結局、さっさと分裂して騒動とは切り離されたビットコインキャッシュが一番安全なんじゃない?となり、そっちに大移動が行われるシナリオも十分考えられます。BCHが直近で高騰してきているのもその辺の考察から来ているんでしょう。

※というか、これは私見ですが、おそらくBCH陣営はこれを狙ってここまでの段取りを作り上げてるんじゃないかなと・・・。

で、私はと言うと・・・まあ、どっかには価値が寄るだろうということで、BCH/BTC/B2Xを全部同じくらい保有しておくことにしました(気持ちBCH多め)。

こうやって騒動を掘り下げてみてみると、各陣営が自らの利益を最大化させるため、かなり高度な情報戦が行われてるんだろうなーと思いました。

今後の動向に注目ですね。

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